長年の夢だった木とアイアンの家
自らの作品も取り入れ世界を実現
- 三鷹市
- 大嶋様
木の香りが空間いっぱいに漂う
家の中に一歩足を踏み入れた途端、木のやさしい香りがします。三鷹市にある大嶋邸です。
「床、暖かいでしょ?」と迎えてくれたのは奥様の美保子さん。取材した日は初冬の寒い日でしたが、その寒さをまったく感じさせないのです。「床材に使っている無垢のパイン材のお陰です。厚さが結構あるので床暖房みたいに暖かいんです」
家全体を見回して感じられるのは家具や時計、照明など、1つ1つがこだわりをもって選ばれているということ。住み手のセンスがさり気なく、でもしっかりと伝わってくるのです。それもそのはずで、奥様の美保子さんは工房でモザイクを製作する仕事をしていたそうです。
主導権の大半は奥様で家づくり
家づくりはご夫婦2人がこだわりをもっている場合もありますが、大嶋さんのお宅は、「主導権の95%は私でした」と奥様。八正建設との打ち合わせも奥様が1人で行っていたとのこと。ご主人の一さんは「私は洋服をいっぱいもっているので、2階寝室の収納を大きくしくれと言っただけであとは妻に任せました。でもお金はきちんと出させていただきましたが(笑)」
大嶋さんご一家が9年間住んでいたというのは駅前のビル。美保子さんは「結婚する前からすでにマイホームのイメージはできていました」というほど、家への思い入れが強く、今回その長年の夢を叶えることになりました。それも以前は工房でモザイク製作を仕事にしていたということもあり、こだわりは並大抵のものではありませんでした。
「ここの場所、いいじゃない」というご主人の勧めで、更地だったこの土地を購入することに。建築条件付で好きなようにつくれるのがなんといっても魅力でした。
ご主人が自営業を営んでいることもあり、玄関や階段の位置などは風水的にベストな場所に配置。
そのうえで、美保子さんが望んでいた家づくりを進めていきました。奥様が望んでいたこと、それは「木とアイアンの家」にすることでした。
「床に無垢のパイン材を選んだのもそのためです。壁は珪藻土も考えましたが、価格が高くなるので、珪藻土風クロスにしました」
そして、奥様の世界の実現に大きく貢献しているのが家具と小物類です。ダイニングテーブルは厳選したというアンティーク風の木製で、イスは教会で見かけるチャーチチェア。食器棚や洗面台などもあえてウッディ感あふれる木製にしており、そのこだわりは半端ではありません。
その一方で、随所にアイアンを採用。ダイニングテーブルとキッチン上のペンダントライト、時計、タオル掛け、玄関上の照明など、どれもお洒落なデザインのアイアンが使われており、まさにアイアン尽くしとなっています。
「私たち、サーファーなんです」
そんな大嶋邸には、実は奥様の“作品”もしっかりと採用されています。
1つは玄関ホール横にあるステンドグラス。直径80cmはありそうな大きなものです。
もう1つは、玄関前の表札部分につくったというモザイク。小さな石でつくられており、奥様が1つ1つ手で埋めていったそうです。
2007年11月、こうして奥様の思い入れたっぷりの家が出来上がりました。ウッディな雰囲気いっぱいの大嶋邸。その空間に小学校1年生のはなちゃん、3歳になる健太君がはしゃぎ回る姿は、「大草原の小さな家」のようにすら見えます。ところが帰り際、奥様が意外なことを教えてくれました。
「私たち、こう見えてもサーファー一家なんです。それが私たち家族のカラーでもあるんですよ。湘南や千葉などによく行くんです」
でも家の中にはサーファーの「サ」の字もなかったように思いますが。
「いかにもサーファーっというのはイヤだったんです」と声を揃えるご夫婦。ウッディな空間に佇む、隠れサーファー!?。まるで忍者屋敷にでも来たような、不思議な余韻を与えてくれた大嶋邸でした。